抗真菌薬
ポリエン | アゾール | - | - | - | ピリミジン | キャンディン | - | 検査 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
L-AMB | MCZ | FLCZ | ITCZ | VRCZ | 5-FC | MCFG | その他 | β-D-G | |
Candida albicans | ◎ | ◯ | ◎ 1) | ◎ 2) | ◎ | ◯ | ◎ | ↑ | |
C. lusitaniae | × | ◯ | ◎ | ↑ | |||||
C. krusei | △ | △ | ◎ | ↑ | |||||
C. glabrata | △ | △ | ◎ | ↑ | |||||
Trichosporon | ◯ | - | △ | △ | ◯ | - | × | ↑ | |
Cryptococcus | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | × | × | |
Aspergillus | ◎ | ◎ | × | ◎ | ◎ | △ | ◎ | ↑ | |
Mucormycosis | ◯ | ◯ | × | △ | × | × | × | × | |
Pneumocystis | SMX-TMP | ↑ | |||||||
副作用が多い | 視覚障害 | 透析で疑陽性 |
アゾール系
- 真菌のエルゴステロール(真菌細胞の構成膜)の産生を抑える。
フルコナゾール(FCZ or FLCZ)
- 商品名: ジフルカン(内服・静注用)
- プロドラッグ製剤: ホスフルコナゾール(F-FLCZ; プロジフ)
- 副作用が少ないので使いやすい
- 相互作用: PHT, SU, Warfarin, CyAの血中濃度を上げる
- カンジダ属
- Candica albicans, C. trophicalis, C. parapsilosis -> 感受性あり
- C. glabrata, C. krusei -> ほとんどが耐性菌
- クリプトコッカス -> 活性あり(AMPH-Bが優先)
- アスペルギルス -> いまいち
- 投与量
- FLCZ 1
薬剤名 | 適応 | 初回 | 維持量 | 期間 |
---|---|---|---|---|
FLCZ | 咽頭カンジダ | 6mg/kg 1x | 3mg/kg 1x | 14d |
食道カンジダ | 6mg/kg 1x | 3-12mg/lg 1x | 21d | |
全身性カンジダ症 | 6-12mg/kg 1x | 28d | ||
クリプトコッカス髄膜炎 | 12mg/kg | 6-12mg/kg | 培養陰性後10-12w | |
クリプトコッカス髄膜炎再燃 | 6mg/kg |
- 成人では3mg/kg = 100mg, 6mg/kg = 200mg, 12mg/kg = 400mgで投与
イトラコナゾール(ITCZ)
- 商品名: イトリゾール(内服, 注射)
- 胃酸分泌↓で吸収低下(PPIやH2RAと併用が難しい)
- シロップ:空腹時、カプセル:食直後
- 眼・中枢神経への当科が極めて悪い
- 皮膚軟部組織障害によく効く
- アスペルギルス-> 効く(VRCZ優先)
- ブラストミセス症(アメリカ北部の風土病)、ヒストプラズマ症、コクシジオミセス症、パラコクシジオミセス症 -> OK
- 股部白癬 -> 効く
- 爪白癬 -> よく効く (角質・爪に集積する)
- FCZ耐性は基本的にITCZも耐性
ボリコナゾール(VRCZ)
- 商品名: ブイフェンド(内服・静注)
- 肝代謝: 腎機能が低下しても投与量を変えなくてよい。
- ただし、静注薬は添加物に腎毒性
- アスペルギルス・トリコスポロンにも効くので侵襲性アスペルギルス感染症に使いやすい。
- フルコナゾールの効かないカンジダも一部カバー
- 中枢神経以降も良好
- 投与量
- 新生児には使用不可
- トラフ目標: 1-5ug/mL
- VRCZ 2
- 推奨投与量 6mg/kg q 12hr 2回投与後、4mg/kg q 12hr
- 推奨投与量(重症) 初回投与時に7-10mg/kg q 12hr 2回投与
- 保険適応量: 6mg/kg q 12hr 2回投与後、 3-4mg/kg q 12hr
- (成人) FNではLip-ABPH-Bのほうが有利という研究も
ポサコナゾール
- 商品名: ノキサフィル(治験中)
- 酵母・フサリウム・ムコールにも効果あり
ミコナゾール (MCZ)
- 商品名: フロリード注/ゲル/クリーム/膣坐, コラージュフルフル
- 腸管から吸収されない(メリットでもある)
- 注射製剤はあるが副作用が多く使われない。
- 鵞口瘡・食道カンジダ・膣カンジダ・白癬・癜風・乳児寄生菌性紅斑によく使われる。
- 投与法(鵞口瘡): 基本的には自然治癒を待ってもいいが範囲が広いまたは有症状の時は、1日2-4回口腔内に適量塗布し5日間程度で終了する。
ポリエン系
- 細胞膜のエルゴステロールに結合し、細胞膜の透過性を亢進 + フリーラジカルの産生
アンホテリシンB(AMPH-B)
- 商品名: ファンギゾン(静注・内服)
- リポソーム製剤: アムビゾーム(L-AMB; 静注) 小児適応あり!
- かなり広範囲の真菌に効果あり。アスペルギルスにも。
- 腎機能障害: 輸入腎細動脈の収縮による。低K、低Mgも。
- アレルギー反応ではない機序で発熱・振戦・頻脈を来す
- リポソーム製剤: 副作用軽減
- 投与量
- L-AMB 3
- 推奨投与量: 3-5mg/kg 1x, 重症感染症: Max 10mg/kg 1x
- 保険適応量: 2.5mg/kg 1x, 最大 5mg/kg, クリプトコッカス髄膜炎は 6mg/kg
- 1-2時間かけて点滴静注
- L-AMB 3
エキノキャンディン系
- 細胞壁のβ-1-3-グルカンシンターゼに作用して、β-Dグルカン合成を阻害。殺菌的に働く
- 分子量が大きく内服製剤はない(吸収されない)
- カンジダ・アスペルギルスに効果。Pneumocystisに効果はあるがPCPにはいまいち。
- クリプトコッカス・トリコスポロンには効果なし
- 肝腎機能障害時にも投与量は調節不要
- 商品名: ミカファンギン(MCFG; 商品名 ファンガード)など
- 投与量
- MCFG 4
- 推奨投与量: 2-4mg/kg 1x (Max 100mg), 深在性アスペルギルス感染症: 4-8.6mg/kg (Max 150mg)
- 保険適応 アスペルギルス: 1-3 mg/kg 1x, max: 6mg/kg
- 保険適応 カンジダ: 1 mg/kg 1x, max: 6mg/kg
- 保険適応 予防投与: 1 mg/kg 1x, max: 6mg/kg
- 成人でも max 600mg
- 1時間以上かけて点滴静注
- MCFG 4
アリルアミン系
テルビナフィン
- 商品名: ラミシール
- 外用剤 と 外用でコントロールが難しい場合に使用する内服薬がある
参考
- 抗菌薬の考え方・使え方 V3