亜鉛欠乏症

1999-01-01 00:00 by kcrt

 

亜鉛欠乏症

原因

  • 腸性肢端性皮膚炎
    • 治らないオムツ皮膚炎では必ずはかる
  • 低出生体重児の乳児期
    • 生後2-9か月頃に発症しやすい
  • 低亜鉛濃度母乳栄養
    • 稀ではあるが亜鉛濃度が著明に低値の母乳がある
    • 母のSLC30A2遺伝子の変異により乳腺で発現している亜鉛輸送蛋白ZNT2の機能障害が起こる
    • 児が正常であれば人工乳で症状が起こらない
    • 母乳亜鉛濃度が13-16ug/dLと低下(正常は92-264ug/dL)
  • 肝疾患・静脈栄養・吸収阻害物質の摂取・キレート剤・火傷など

症状

  • 亜鉛含有酵素活性低下 -> DNA複製障害 -> 四肢末端・口周囲・陰部などの乾燥やびらん、体重増加不良、カンジダ皮膚炎、脱毛
  • GH低下 -> IGF-1低値 -> 骨障害/低身長
  • T細胞機能不全 -> 免疫能低下
  • 味蕾細胞萎縮 -> 味覚障害
  • 男性生殖機能不全

検査

  • Zn <60ug/dL: 欠乏
  • Zn 60-80ug/dL: 潜在性欠乏状態
  • ただし、血清亜鉛濃度が正常でも欠乏を否定出来ない
  • 毛髪中亜鉛 <80ug/g 低値 (重度の場合毛髪の伸びが悪くなるため濃度が正常となる場合もある)
  • ALP低値(亜鉛含有酵素であるため)
  • 血清リン・IGF-1低下
  • 潜在的亜鉛欠乏症の検査として亜鉛負荷試験がある(静注して30, 60, 90, 120min.の採血を行い亜鉛濃度の変化を見る 小児内科33増 116-117, 2003)

治療

  • 食事だけでは厳しい場合が多い
  • プロマック(R) ポラプレジンクが有効:保険適応はない
  • ノベルジン(酢酸亜鉛)が、2017年3月より低亜鉛欠乏にたいする適応を得た
  • 試薬のZnSO~4~・7H2O(硫酸亜鉛)も使用出来る
  • 投与量 腸性肢端性腸炎では 亜鉛として
    • 乳児: 3 mg/kg/day
    • 幼児: 30-50 mg/day
    • 学童: 50-150 mg/day
    • 成人: プロマック 150mg 2x = Zn 34mg
  • 投与量 通常の亜鉛欠乏では
    • 小児投与量は亜鉛として 1-3 mg/kg/day
    • 幼児では25-50mg/day
    • 学童では硫酸亜鉛として5mg/kg/day(亜鉛として1-2mg/kg/day 2x-3x)
    • 成人: 50-150mg/day
  • プロマック 100mg = 亜鉛 22.7mg
    • 1錠75mg中に亜鉛を16.9mg含有
    • 顆粒 1gで34mg
  • ノベルジン 25mg, 50mg
  • 消化器症状を引き起こす事が多いので、食事中に内服させる
  • もしくは、食事による亜鉛吸収の影響を避ける為には、食事前1~2時間に内服
  • 通常の摂取量は
    • 未熟児: 400 ug/kg/day
    • 3ヵ月未満乳児: 250 ug/kg/day
    • 3ヵ月以上乳児: 100 ug/kg/day
    • 幼児・小児: 50 ug/kg/day
    • 0から6ヵ月の児で2mg/day、7から12ヵ月の児で3mg/day、1から3歳の児で3mg/day、4から8歳の児で5mg/day、9から18歳で8から11mg/dayとされています。 1
  • 効果発現は速やかで数日で皮膚炎の改善が見られる
  • 静注では100ug/kg/day
  • 亜鉛は、銅の吸収を阻害するため、低銅血症に注意 1-3ヶ月に1回は確認
  1. 小児在宅医療支援研究会 

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