染色体・遺伝子

1999-01-01 00:00 by kcrt

 

染色体・遺伝子検査

細胞遺伝学的検査法

  • 顕微鏡を利用した検査
  • 顕微鏡で見える範囲=染色体レベルの検査
  • DNAでは数Mb程度までに相当
  • 染色体の分裂像を固定→生きている細胞でないといけない(末梢血リンパ球が一番都合が良い)
  • Tリンパ球にPHAを添加して分裂周期にいれ、コルヒチンを添加して分裂期細胞を得る

  • 染色体分染法
    • G-band法(ギムザ染色)
      • 全染色体を染色して明暗(暗い部分がATが多い)を見る
      • 1ハプロイドあたり450-550バンドの解像度
      • 10Mb以下は検出できない
    • Q-band キナクリンによる染色、Y染色体の異質染色体検出に優れる
    • C-band アルカリ処理してギムザ染色、異質染色体や動原体部分の検出に有用
    • N-band 酸処理してギムザ染色
    • R-band 濃淡がG-bandと逆。テロメア部の検出に有用。
    • 高精度分染法: コルヒチンを添加して細胞周期を分裂中期で静止させて分析を行いやすくする。1ハプロイドあたり850-1000バンドレベルの標本作製が可能。
  • FISH法
    • それぞれの場所に特徴的な配列なプローブを利用して配列の有無を調べる
    • G-bandでわからないような微細な異常も調べることができる
    • 特定の染色体領域の欠失・重複の有無を調べる
    • 重複は場所が近すぎる場合はわからない可能性もあり
    • がん細胞などで、癌遺伝子の増幅数を調べたりすることもあり
  • 間期核FISH
    • 重複している場所が近傍すぎる場合FISHではわかりにくい
    • 間期の染色体(球体)を利用し、核内に何個反応があるかを調べる
    • 100%ではない
  • ファイバーFISH
    • 染色体を界面活性剤で糸状に解く
    • 難しい(標本作成に熟練の技)
  • M-FISH
    • 染色体ごとに異なる24色で染め分ける
    • 由来不明の染色体転座やマーカー染色体の同定に使用する
    • ターゲット領域が小さい時は完全に染まらないのでわかりにくい
  • どうしても検体が微量しか取れない時
    • 微量検体をヘパリン採血管に入れると蒸発により濃縮・ヘパリンが相対的に過量となり検査が行えない
    • 0.2-0.5mLを骨髄細胞輸送用の保存液入スピッツに入れる。4℃で保存。
    • 死後数時間立っている場合は保存液入りに無菌的に採取した皮膚を入れる。アルコールで消毒。イソジンは皮膚線維芽細胞を傷つけるので使用しない。
  • 血液検体で異常を認めないが、臨床的に明らかに染色体異常が考えられる時
    • 微細な異常が考えられる場合は、アレイCGHを行う
    • 体細胞モザイクが考えられる場合は、頬粘膜採取を行う。新生児では母乳中細胞の混入を避けるため哺乳前に行う。

染色体分染法の核型表記法

記号 意味 記号 意味
範囲 i 同腕染色体
: 切断 idic 同腕二動原体性染色体
:: 切断と再結合 ins 挿入
不確かな切断点 inv 逆位
[n] 観察細胞数 mar 由来不明構造異常染色体
/ 異なる核型を区別 mat 母由来
add 由来不明負荷染色体 p 短腕
dn 新生突然変異 pat 父由来
del 欠失 q 長腕
der 派生染色体 r 環状染色体
dic 二動原体性染色体 t 転座
dup 重複 ter 染色体端部

分子生物学的検査法

  • 染色体標本を使わず、ゲノムDNAを検体として使用する方法
  • 分裂する細胞を用いる必要がない
  • 末梢血が第1選択。次が皮膚線維芽細胞。
  • 培養を行った場合はRNA除去が必要。
  • 冷凍細胞や保存臍帯でも可能。やや正確性が落ちる。

  • PCR - DNA断片を高速に試験管内で増幅させる。増幅できる塩基数は一般的には数百塩基対、特殊なポリメラーゼを利用すると数千塩基対まで増幅可能。
  • サンガーシーケンス法 - 蛍光色素でラベリングしたddATP, ddCTP, ddGTP, ddTTPを混ぜてPCR
  • MLPA(multiple ligation-dependent probe amplification)法
  • リアルタイムPCR法 - PCRの過程(サイクル毎のコピー数)をモニタすることで定量を行う
  • ダイレクトシーケンス - PCRしてそのまま同じプライマーでサンガーシーケンスする。エクソンひとつまるっとない場合は分からない

遺伝子診断で検出される異常

  • 1塩基置換 single base substitution
    • missense mutation: アミノ酸の変化
    • nonsense mutation: アミノ酸が終止コドンへ変化
    • splicing site mutation: イントロンに変異が起り、エクソンの一部または全部がスキップされる
    • synonymous mutation(サイレント変異): 置換が起っているがアミノ酸は変化していない。ほとんどがSNP。
      • SNP - single nucleotide polymorphism: 変異が集団内の1%以上の時をSNPという
  • 欠失 deletion, 挿入 insertion
    • in frame mutation: 3の倍数で欠失または挿入
    • frame shift mutation: 3の倍数以外で欠失または挿入

アミノ酸

アミノ酸 英名 略号 - 分子量 等電点
アラニン Alanine Ala A 89.09 6.00
アルギニン Arginine Arg R 174.20 10.76
アスパラギン Asparagine Asn N 132.12 5.41
アスパラギン酸 Aspartic Acid Asp D 133.10 2.77
システイン Cysteine Cys C 121.16 5.05
グルタミン Glutamine Gln Q 146.15 5.65
グルタミン酸 Glutamic Acid Glu E 147.13 3.22
グリシン Glycine Gly G 75.07 5.97
ヒスチジン Histidine His H 155.15 7.59
イソロイシン Isoleucine Ile I 131.17 6.05
ロイシン Leucine Leu L 131.17 5.98
リシン Lysine Lys K 146.19 9.75
メチオニン Methionine Met M 149.21 5.74
フェニルアラニン Phenylalanine Phe F 165.19 5.48
プロリン Proline Pro P 115.13 6.30
セリン Serine Ser S 105.09 5.68
トレオニン Threonine Thr T 119.12 6.16
トリプトファン Tryptophan Trp W 204.23 5.89
チロシン Tyrosine Tyr Y 181.19 5.66
バリン Valine Val V 117.15 5.96

RNAコドン表

5'->3'

1st 2nd - - - 3rd
- U C A G -
U UUU Phe UCU Ser UAU Tyr UGU Cys U
- UUC Phe UCC Ser UAC Tyr UGC Cys C
- UUA Leu UCA Ser UAA end1 UGA end2 A
- UUG Leu UCG Ser UAG end3 UGG Trp G
C CUU Leu CCU Pro CAU His CGU Arg U
- CUC Leu CCC Pro CAC His CGC Arg C
- CUA Leu CCA Pro CAA Gln CGA Arg A
- CUG Leu CCG Pro CAG Gln CGG Arg G
A AUU Ile ACU Thr AAU Asn AGU Ser U
- AUC Ile ACC Thr AAC Asn AGC Ser C
- AUA Ile ACA Thr AAA Lys AGA Arg A
- AUG Met4 ACG Thr AAG Lys AGG Arg G
G GUU Val GCU Ala GAU Asp GGU Gly U
- GUC Val GCC Ala GAC Asp GGC Gly C
- GUA Val GCA Ala GAA Glu GGA Gly A
- GUG Val GCG Ala GAG Glu GGG Gly G
  1. Ochre 

  2. Opal 

  3. Amber 

  4. start 

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