CMV
- ヘルペスウイルス科ベータヘルペスウイルス亜科
- HHV-5
- 日本人では多くが幼児期に(不顕性)感染し生涯その宿主に潜伏感染する。
- CMVの潜伏感染部位やそのメカニズムについては、まだ不明な点が多いが、顆粒球、単球が潜伏部位であるとする報告がある
- CMV 感染(infection)とCMV感染症(disease)は異なる: 体内にCMVが同定される / 症状がある の違い
検査
- 血清学的検査
- ELISEやCF
- 移植前のリスク評価には有効であるが、造血幹細胞後は液性免疫の低下などで有用性が低い
- CMVの分離
- 尿・咽頭拭液・WBC・BAL・髄液
- ヒト線維芽細胞に検体を接種し、CMVに特徴的な巣状の細胞変性効果(cytopathic effect; CPE)を確認する。
- 結果判定までに数週間を要する。
- 検出感度や時間から有用性が低い
- ウィルス迅速同定(シェルバイアル法)
- 尿、血液、気管支肺胞洗浄液などの検体を濾過除菌し、スライドグラス上のヒト胎児肺線維芽細胞に接種する。
- シェルバイアル法では、バイアル中の線維芽細胞に重力を加え、接種効率を高めている。
- その後、CMV抗原に対するモノクローナル抗体を用いて培養細胞中のCMV感染細胞を迅速同定する。
- 1-2日内に迅速診断できる。
- 血液検体を用いたCMV感染のモニタリングとしては感度が低い→アンチジェネミアを行う
- BALで検出した場合CMV肺炎の診断的価値が高い
- CMV抗原血症検査(CMVアンチジェネミア法)
- CMV pp65抗原に対するモノクロナール抗体を用いて、ペルオキシダーゼ法により末梢血中のCMV抗原陽性細胞(多形核白血球)を検出する。
- CMV抗原陽性細胞数を目視にてカウントする。
- HRP-C7法: 1スライド上の陽性細胞をカウントして、WBC 50000個あたりの陽性細胞数に換算して表現
- C10/C11法: 2スライド上の陽性細胞をカウントする。
- 3-4時間で結果が判明して結果を定量的に表現出来る。
- CMV感染症の診断における感度および特異性が高く(>85%)、CMV抗原陽性細胞数は、病勢や治療経過と相関し、宿主の免疫能と逆相関する。
- CMV抗原血症検査によるモニタリングを行い、一定量以上でCMV抗原陽性細胞が検出された場合に抗ウイルス剤の投与を開始する先制治療(preemptive therapy)が主流となっている。
- WBC(Net.)の一が少ない場合は測定出来ない / 感度が低下する。
- PCR (保険適応外)
- 血漿(血清)やBALをPCR
- 高い感度、特異度、迅速性
- 欧米では主流となっているが我が国では保険適応でない
- 海外では、pp67 mRNAをNASBAで検出する方法もある。pp67 mRNAはウィルスの活発な増殖を意味して浅在感染では通常検出されないため有用。
- 細胞・組織病理学的検査
- 組織標本や気管支肺胞洗浄液において巨細胞核内封入体を有する細胞(”ふくろうの目”様細胞)を検出する。
- CMV以外のヘルペス感染症でも出現する。
preemptive therapy
- 咽頭スワブ、血液、尿、BALのウイルス培養を行ない、陽性となった場合は症状が出る前に治療を始める。
- 陽性の基準(造血幹細胞移植)
- C10/C11法の場合
- 低・中リスク群;2スライドで合計20個以上の陽性細胞
- 高リスク群;2スライドで合計3個以上の陽性細胞
- C7-HRP法の場合
- 低・中リスク群;10/50,000WBC以上の陽性細胞
- 高リスク群;2/50,000WBC以上の陽性細胞
- PCR 法の場合300コピー/mL(血漿)
- C10/C11法の場合
- リスク
- ドナー(-), レシピエント(-) → 低リスク
- レシピエント(+) → 中リスク
- ドナー(+), レシピエント(-) → 高リスク
- 治療はGCVが第一選択。耐性または使用不能な場合はホスカルネットを使用。