性腺ホルモン
- GnRH(視床下部) -> LH, FSH(下垂体前葉) -> E, P, テストステロン(性腺)
- 男性ではLHはLeydig細胞のテストステロン産生に、FSHはSertoli細胞の精子形成作用に重要である.
- ゴナドトロピン "Gonadotropin" = 性腺刺激ホルモン
- 性腺を刺激して性ホルモンを分泌するように働きかけるホルモン
- LH, FSH(, hCG)
LH, FSH
- 小児内科 vol.45, 2013-5
- LH: 黄体化ホルモン luteinizing hormone
- FSH: 卵胞刺激ホルモン follicle stimulating hormone
- 乳児期
- 男児では1-3Mの生理的にLH, FSHが上昇する時期に思春期相当の反応を示す。この時期に基礎値に加えてLH-RH負荷試験でもゴナドトロピン感度以下となればゴナドトロピン欠損症の可能性が高くなる。
- 性腺自体の障害が強い場合はゴナドトロピン基礎値がすでに異常高値を示す。そのため負荷試験の意義は少ない。
- 女児では原発性卵巣機能不全が存在しない健常児でも正常のバリエーションは広い。FSH基礎値 10-20mIU/mL程度の高値が2歳頃まで続き、LH-RH負荷試験でFSHが過剰遷延反応を示す児も存在する。
- 負荷試験では男児ではLH優位、女児ではFSH優位の反応が見られる。
- 幼児期〜前思春期
- 乳児期後半〜前思春期まではゴナドトロピンは健常児でも基礎値・頂値共に低値であるため、LH-RH負荷試験で評価を行うことは困難である。
- 無精巣症のような強い原発性性腺機能低下症例でもLH基礎値は一旦感度以下、FSHも正常程度まで下降する。その場合はLH-RH負荷試験で前思春期の基準値と比較して過剰反応、とくにFSHが著明な高値を示すことは性腺自身の強い障害を表している。
- 思春期
- 思春期に入るとFSHと比較してLHの上昇が目立つようになり、基礎値・頂値共に上昇してくる。
- 負荷試験でのLHの頂値が6
mIU/mLをこえ、LH/FSH頂値比が上昇することが思春期発来の反応とされている。
- 男児 LH頂値≧7mIU/ml LH頂値/FSH頂値≧0.8
- 女児 LH頂値≧6mIU/ml LH頂値/FSH頂値≧0.5
- ただし、LH基礎値 0.3mIU/mL以上はGnRH負荷試験の思春期の結果と相関し、検査を省略できるという報告もある。
- 中枢性思春期早発症の症状を満たし、骨年齢に余裕がなく性腺抑制療法を急ぐ場合は、LH基礎値が明らかに上昇していればLH-RH負荷試験は必須の検査ではない。
- 性早熟徴候はあるが、ゴナドトロピンの上昇がはっきりしない場合にはLH-RH非依存性の病態の存在を鑑別するために負荷試験でゴナドトロピンの抑制がないかを確認することは重要である。
- 思春期年齢以降で二次性徴の未発来の場合も本試験が施行される。二次性徴の欠如に加えて血中性ホルモン値が低値、かつゴナドトロピン基礎値あるいはLH-RH負荷試験頂値の異常高値がなければ低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を否定することはできない。ただし、この時期は低ゴナドトロピン性性腺機能低下症でもLH, FSHに全く反応しない例は稀であり、体質性思春期遅発症との鑑別は容易ではない。
LH1 | |||
---|---|---|---|
男性 | - | 女性 | - |
年齢 | 基準範囲 (mIU/ml) | 年齢 | 基準範囲 (mIU/ml) |
0~11ヶ月 | 0.0~0.7 | 0~11ヶ月 | 0.0~0.8 |
1~2歳 | 0.0~0.7 | 1~6歳 | 0.0~0.7 |
3~6歳 | 0.0~0.4 | 7~8歳 | 0.0~1.4 |
7~8歳 | 0.0~0.6 | 9歳 | 0.0~3.4 |
9~10歳 | 0.1~1.4 | 10~11歳 | 0.1~6.6 |
11歳 | 0.1~2.7 | 12歳 | 0.1~10.8 |
12歳 | 0.2~3.4 | 13~14歳 | 0.2~13.1 |
13~14歳 | 0.4~4.5 | 15~16歳 | 0.3~14.8 |
15~18歳 | 0.7~5.6 | 17歳 | 0.3~16.5 |
19歳~ | 1.2~8.0 | 18歳~ | 1.2~8.0 |
FSH2 | |||
---|---|---|---|
男性 | - | 女性 | - |
年齢 | 基準範囲 (mIU/ml) | 年齢 | 基準範囲 (mIU/ml) |
0~11ヶ月 | 0.4~3.2 | 0~11ヶ月 | 2.3~12.1 |
1~5歳 | 0.4~3.2 | 1歳 | 2.3~12.1 |
6~7歳 | 0.6~4.1 | 2~3歳 | 1.2~8.3 |
8~9歳 | 0.8~5.6 | 4~7歳 | 0.6~5.3 |
10~11歳 | 1.2~7.1 | 8歳 | 0.8~6.3 |
12~15歳 | 1.7~9.3 | 9歳 | 1.1~7.8 |
16~18歳 | 2.0~10.5 | 10歳 | 1.7~10.1 |
19歳~ | 2.3~15.1 | 11~14歳 | 2.9~13.9 |
- | - | 15~17歳 | 3.2~15.0 |
- | - | 18歳~ | 2.3~15.1 |
負荷試験3 mIU/mL | 前思春期(±1SD) | 思春期(±1SD) |
---|---|---|
男児 | ||
LH基礎値 | 0.2 (0.0-0.4) | 1.8 (0.8-4.2) |
LH頂値 | 3.8 (0.4-6.0) | 26.6 (18.2-38.0) |
FSH基礎値 | 1.3 (0.6-3.0) | 5.6 (2.9-10.8) |
FSH頂値 | 9.9 (6.3-15.6) | 11.4 (5.8-22.3) |
女児 | ||
LH基礎値 | 0.2 (0.1-0.4) | 1.3 (0.4-4.1) |
LH頂値 | 2.8 (1.6-4.8) | 11.4 (8.5-15.5) |
FSH基礎値 | 2.9 (2.1-6.1) | 7.1 (4.8-10.4) |
FSH頂値 | 18.0 (14.5-21.9) | 12.9 (8.3-20.0) |
テストステロン
- テストステロンの95%は精巣で作られており、残りは副腎で作られている
- 思春期前の血清テストステロン濃度は20ng/dL(0.7nmol/L)未満であり,成人期では300〜1200ng/dLを超える。
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琉球大学附属病院検査部 http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/labo/method/infant/ ↩
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琉球大学附属病院検査部 http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/labo/method/infant/ ↩
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吉澤ら ホルモンと臨床 38:217-221, 1990 ↩