ビタミンD
種類
- ビタミンD~1~: ビタミンD2 + 不純物であったため現在は使われない
- ビタミンD2: エルゴカルシフェロール、植物に多く含まれる。
- ビタミンD~3~: コレカルシフェロール、動物に多く含まれる。
- VD2とVD~3~では効果に差がないとの報告もある。いずれにせよヒトではD~3~が主体である。
- 25(OH)Dの半減期は15日間と長い。
- 1, 25(OH)2Dは15時間という短い半減期であり、PTH, Ca, Pで変化するので貯蔵量の反映をしない。
機能
- 腸管からのカルシウム吸収を高める
- 腎臓に働いてカルシウムの血中から尿への移動を抑制する。
- 骨芽細胞の分化を促進して骨形成を促進する。
- 破骨細胞の文化も促進して、骨から血中へカルシウムの放出を高める。
- 免疫反応への関与も示唆されている。
基準値
- 25-(OH) D~3~: 10-30ng/mL こちらを測る
- 20ng/mL以下はビタミンD欠乏が疑われる。
- 150ng/mLを超えると有害性の徴候が現れてくる。
- 高値: ビタミンD過剰症
- 低値: ビタミンD欠乏症, 高度の肝疾患, ネフローゼ, 低蛋白血症
- 1, 25-(OH)2 D~3~: 20-70pg/mL
- 高値: ビタミンD過剰症, 原発性副甲状腺機能亢進症(軽度上昇), 1,25-(OH)2 VD~3~産生性サルコイドーシス, ビタミンD依存症2型
- 低値: ビタミンD依存症1型, 極度のビタミンD欠乏症, 慢性腎不全, 副甲状腺機能低下症
- ビタミンD欠乏症の診断は1,25-(OH)2 D~3~では出来ない。25-(OH)D~3~は保険適応となった。
- 慢性腎不全による1α-水酸化酵素活性低下の評価や、1α-水酸化酵素欠損の評価には1,25-(OH)2 D~3~の評価が有用。また、活性型VD投与中の患者における薬剤モニタリングにも有用である。
代謝
- コレステロールが代謝を受けて、7-DHC(デヒドロコレステロール、もしくはプロビタミンD~3~とも呼ばれる)となる。
- 7-DHCから紫外線でプレビタミンD~3~になる。
- プレビタミンD~3~は室温で自然にビタミンD~3~へと異性化する。
- また、経口摂取でもビタミンD~3~は吸収される。
- ビタミンD~3~は、肝臓で25(OH)D~3~ (カルシジオール)となり、肝臓へ蓄えられ、必要な時にα-グロブリンと結合してリンパ液中に放出される。
- 25(OH)D~3~は、腎臓の尿細管に移送され、カルシジオール-1-モノオキシゲナーゼ(1α-ヒドロキシ酵素; CYP27B1)によって、1,25-(OH)2 D~3~(カルシトリオール=活性型ビタミンD)となる。
- 1α-ヒドロキシ酵素は副甲状腺ホルモンに加えて、低カルシウム・低リン酸状態により活性化する。
- 1α-ヒドロキシ酵素が不活性な場合は、別の酵素が25(OH)D~3~を24,25-(OH)2 D~3~とし、不活性化される。
疾患
- ビタミンD依存症 1型(1α-水酸化酵素欠損症)
- 通常のビタミンD欠乏性くる病の所見に加えて、25(OH)Dが正常~高値
- ビタミンD依存症 2型(1,25-(OH)2 D受容体異常症)
- 通常のビタミンD欠乏性くる病の所見に加えて、1,25(OH)2Dが高値・全例ではないが頭部の脱毛