コーヒーを飲むのにお湯を沸かすのですが、アルコールとガス燃料でどちらの方が安いか実験してみました。
十分な準備を行った上で室内環境で燃焼実験を行っております。アルコールストーブ・ガスバーナー、ともに本来は屋外での使用のための器具です。
条件
- 水道水 200mL、沸騰まで
- ケトル (蓋あり)
- 気温: 25-30℃, 室内 (無風)
- 水道水の水温が10℃とすると、100℃ にあげるのに必要な熱量は 90[K] x 200[g] = 18[kJ]
アルコールストーブ
一般的な燃料用アルコール(メタノール 70% + エタノール 30%)を、トランギアのアルコールバーナーで使用しました。
- 1回目: 11.37g
- 2回目: 10.16g
- 3回目: 9.06g
- 平均: 10.2g
一般的な燃料用アルコールは500mLで450円くらいでしょうか。アルコールは0.8g/mLと考えると、湯沸かしに必要なのは12.75mL, 平均11.5円くらいです。 沸騰までの平均時間は5分21秒でした。トランギアのバーナーは火をつけてから本燃焼に入るまで結構時間がかかるので、仕方ないかもしれません。
ちなみに、この条件では理科実験用の一般的なアルコールランプでは残念ながら沸騰しませんでした。サイフォン式コーヒーではよく使われると思いますが、風防がなかったり、ケトル自体がステンレスなので熱が逃げたり、ランプとケトル間の距離から来ているものかと思いますが、そもそも、今時の学校の理科実験ってアルコールランプ使わないんですってね…。
- 燃料用アルコール (メタノール 70% + エタノール 30%): 1gあたり燃焼 24.73kJ - 気化熱 1.022kJ = 23.7kJ
必要な熱量18kJに対して、理論上得られる241.74kJを考えると、大半の熱が逃げてしまっているようです。
ガスバーナー
OD缶(ノルマルブタン 2 : イソブタン1) を、スノーピーク(snow peak) ギガパワーストーブ 地で使用して燃焼させました。使用の前後でOD缶の重さを量り、ガス使用量を計算しました。
- 1回目: 4.17g
- 2回目: 3.64g
- 3回目: 3.55g
- 平均: 3.79g
OD缶はよく使用されている230gタイプで、500円くらいでしょうか。その価格で計算すると、沸騰に必要なのは平均8.2円でした。 沸騰までの平均時間は2分4秒でした。
- ブタンガス(ノルマルブタン2:イソブタン1) 1g (eq. 250mL) = 45.8kJ (低発熱量)
- 気化熱は22.4kJ/mol = 386J/gと小さいのと、アルストと違って気化部(ボンベ)と燃焼部がすこし離れているので計算から省略しました。
こちらも、必要な熱量18kJに対して、理論上得られる173.58kJを考えると、熱が逃げていっているのは変わらないですね。
ただし、CB缶であれば250g/150円くらいで断然安く手に入るので、2.3円程度で沸騰させることが出来ます。
結論
コストを考えるなら、CB缶なら2.3円で、ティファールなら1円で沸かせるのでそっちを使おう。
最初からフルパワーで燃焼するため沸騰までの時間が短いガスバーナーも、持ち歩く燃料を調整できるアルコールバーナーもどちらもメリットがあるため、状況に応じて使い分けるのが良いと思いました。