技術書典に初めて出展できました。おかげさまで売れ行きも良く、完売することが出来ました。
今後の技術書典に出展されるサークルの方々のためにも、初参加で気がついた点を書いておこうと思います。
今回販売したもの
Programmer's Pocket Referenceというプログラマ向けの情報を集めたA5サイズのマニュアル本です。
何回やっても毎回ググってしまう内容や、ググってもなかなか正しい情報が出ないものを中心に、約200ページ書き下しています。
形態としては、電子版 + 印刷版 あわせて 1000円、という形で販売し、200部すべてを完売致しました。(ありがとうございます!)
原稿
今回200ページ超の原稿となりましたが、第1部は以前から書きためたメモ類があったことからそこまで時間はかかっていません。どちらかというと時間がかかっているのは第2部で、こちらは仕様を確認しながらになるので、だいぶ時間がかかりました。
書いてて思ったのは、Googleは便利だが、一次情報にあたるのは大事、という事です。
表紙はUnsplashの写真を使用しました。これは非商用/商用問わず、著作権表記や許可申請なしで、編集・使用・再配布が自由に使用できる、1,000,000以上の写真を集めた素材サイトです。
デザインセンスがあれば良い物が出来るのかもしれないですが、良い写真はそれだけでもあなたの本の見栄えを良いものにしてくれます。
印刷
原稿を書くのと並行して決めていかないといけないのが印刷所をどこにするかです。
選択肢として考えたのは
の、3カ所です。
上の2カ所は技術書典のバックアップ印刷所になっていることあり、技術書印刷になれているだろう&搬入などもスムーズだろう、ということで候補に入れました。
OneBooksさんは、ちょっと毛色が違って、1冊でも100冊でも、モノクロでも全ページ
フルカラーでも1冊当たり単価が変わらない、というおもしろい設定です。
ただ、書いているうちにページ数が増えたことと、そこそこの部数を出せそうな目星がついて単価が高くなってしまうことから候補から外れることになりました。
今後、100ページくらいで少部数のフルカラー本を書くことがあれば、こちらにお願いしたい、と思っています。(例えば、A5
100ページ 全ページ フルカラーで単価675円)
最終的に印刷は、日光企画さんにお願い致しました。設定のミスで裁ち切りが足りないとか、表紙やXXページのここは大丈夫ですか?とわざわざご確認を頂き、こちらに頼んで良かったな、と思っています。
最終的な価格は 204ページ x 200部(表紙のみフルカラーのスタンダードフルカラーセット + マットPP)で、107,640円でした。
これで、技術書典自体の参加費 7000円も併せて、1冊当たりの単価が約570円となります。
印刷代を安くするためには
- 印刷の質を下げる (例えば、カラーを諦めてモノクロにする、一回り小さい紙のサイズにする、紙の種類を変える、ページ数を減らす)
- 部数を増やす
この二つがすぐに思いつく方法ですが、もっと効果的な方法として、早く入稿して早割を受けるという方法があります。僕は無理でしたので通常価格です。技術書典などのイベントは通常とは違う締め切りが設定されることもあるので気をつけましょう。
部数
なにしろ初出典ですので何部刷って良いのか全く見当が付きません。
少なく見積もりすぎて、単価が高くなって全部売れても採算ギリギリの上に、欲しいと思って来てくれた人に行き渡らないというのも困ります。
かといって、多く見積もりすぎて、売れ残った上に赤字、というのは避けたいです。
「技術書典 部数」でGoogle検索する日々が続きますが、なかなか部数の決断が出来ません。
最終的に部数を決めるのに大いに役に立ったのが、以下の3つです。
運営レポートでは、新刊持ち込み 中央値 100部 という記載があります。「持ち込み」ですので、販売とは違いますが、売れ残った物は少しであれば"BOOTH"や"とらのあな"に委託をすることが出来ますし、会場にはヤマト運輸が来ているので、最悪の場合でも着払いで家に送ることが出来ます。
被チェック数は、技術書典のマイページから確認できます。僕の被チェック数は、@yagitchさんの被チェック数予想の200のラインを少し超えているところでちょうど推移していました。
ただ、印刷所の締め切りの9月17日の時点では被チェック数は100にも到達していません。上のグラフを見てもらって分かるとおり、17日の時点までの推移で、最終的に200に到達するのか確信がもてず、この時点で部数を決めないと行けないのはだいぶ勇気が要りました。
あとは、印刷価格との兼ね合いです。
仮に100部印刷(204P x 100 + マットPP)だと88,680円です。1冊1000円で売るなら、これだとサークル参加費を考えて96部売れて採算が取れる計算です。見本誌2冊と立ち読み本2冊、自分用にも1冊確保したいと考えると、完売しても黒字になりません。
200部印刷した場合の印刷費用は、上記の通り107,640円でした。このラインなら、同じ値段で売るとしたら、サークル参加費を考えても115部売れれば採算が取れることになります。
100部だろうが200部だろうが、あまり売る必要の部数は変わらないな…と思ったところで、迷ったのですが、200部印刷することにしました。
もちろん、単価を上げて1500円にする、電子版に内容を回して印刷するページ数を減らす、という方法もありです。
当日のブースの設営
あって良かったもの
A4クリアファイルに入れた見所シート と 100円均一のイーゼル
これはあって良かったです。事前チェックなしで歩いていると思われる方が、このシートを見て立ち止まって見本誌を手に取って頂きました。
もちろん、サークル名や書名から内容が分かるのなら良いのですが、「Nanoseconds Hunter」の「Programmer's Pocket Reference」なんて聞いても何を売っているのか分かりません。ふと立ち止まって「見てみようかな」と思えるようになるものは必須です。
反省するとしたら、立ち止まらなくても通りすがりに気が引けるようもっと大きな文字で印刷をすれば良かった。ただ、A3だとさすがに邪魔だったかな…。
ちなみに裏はこうなっています。
値札 (カードスタンド)
これもあって良かったと思います。 "簡単後払い"のQRコードを付けておいたので、複数の方が同時に購入を希望されたときにも対応できました。
反省点としたら、QRコードはできるだけ上に付ければ良かった。机の上に立ててある物の下部にQRコードがあってもスマホからはすごく読み込みにくいです。
「見本誌」と書いたシール
表紙が白ならマジックで書けば良いのですが、黒の表紙にしたのでシール必須でした。名刺サイズのシール(プリンタに差し込むやつ)があれば便利かも。
布
「あの布」というのが人気らしいけど理由が分かった。100円均一のポーチに1000円札を入れてたんですけど、机の上に置いておくのは危険だし、かといっていちいちカバンにしまうのも手間だし、あのポケットにはそういう意味があるんですね。あとは、前から在庫が丸見えなのもちょっと恥ずかしかったです。
写真では、布を敷いているように見えますが、これは実は100円均一のカーテンです。机にちょうどのサイズだったので、これに滑り止めをホッチキスで何カ所か留めて、くるくるとして持っていきました。
あとあって良かったもの
- お札入れるB5位のポーチ
- A4の普通のコピー用紙
- マジック・ボールペン
- モバイルバッテリー
- A5透明ブックカバーを見本誌に付けようと思ってたけど持っていくの忘れた
- 凍らしたお茶
- カロリーメイト ウェダーインゼリーの方がよかったかも
- 持って行ってなかったけど、レジ袋みたいなの1枚あればゴミを入れるのにちょうど良かったはず!
電子版 (ダウンロード版)
今回、書籍 + 電子でのセットを基本としました。というのも、こういうアンチョコ本は是非卓上において欲しいな、と思ったからです。もちろん、セカンドディスプレイやiPadのSidecarに表示してもらうのもうれしいし、今後はアップデートもして行きたいので電子版もセットにしています。
電子版で多いのが、書籍にパスワードを記載 → BOOTHで暗号化zipにデータを入れて配布、という方法かと思います。これでも良かったのですが、アップデートを自分で管理したいので、自分のウェブサイトにへのリンクを書籍の最終ページに記載することにしました。もちろん、簡単後払いのかたはDLCとしてダウンロードすることも出来ます。
認証は懐かしのマニュアルプロテクトでのダウンロードです。あまり最近使われてない方法なので一応説明すると、アプリのインストールの途中で「説明書 10ページの一番下に並んでいる記号を左から順番に入力してください」とか出て、入力しないとそこから進まない、ってのが昔のゲームとかであったのです。
pdf自体にDRMを掛けたくなかったのと、共通パスワードだと万が一漏れてしまったときに対応が難しくなること、アップデートをしたいので簡単後払いのDLCだけだと対応が難しいこと、冊子ごとに違うシリアルを記載するのは手間すぎる、ということで採用致しました。
冊子が売り切れで、電子版のみで同価格となっているにもかかわらず御購入して頂いた方、本当にありがとうございます…。よろしければ、ダウンロードカードを大切に持っておいてください。今後も技術書典に出展出来たら、何らかの形で埋め合わせが出来れば…。
購入者詳細
購入頂いた人数は、現金払いで101名、簡単後払いで111名で、ほぼ1:1の割合でした。
200人を超えていますが、前述の通り電子版のみを御購入頂けた方がいらっしゃるのと、日光企画から頂いた分に予備分が含まれているからです。何冊予備があるのか、箱を開ける前に確認しておけば良かった…。
購入頂いたタイミングですが、14時までが圧倒的に多かったです。あと、15:30からは書籍版が売り切れたので、一気に見てくれる人も少なくなりました。そして、Cブースの立ち読み本コーナーで見て、わざわざこちらまで来て頂いたのに売り切れだった方、申しわけありませんでした……。
技術書典の後
売り切れとなったことや、遠方で技術書典に来れなかった方のためにBOOTHに出すか、次の技術書典はどうするべきか、いろいろ考え中です。ホントは早い内に色々やった方が良いと思うのですが、本業がもうちょっと落ちついたらまたアクションを起こそうと思います。